古布

古布の選び方とお付き合いの仕方

<古布の選び方とお付き合いの仕方>
古布の定義とは何でしょうか、当店では昭和初期以前の布生地としています。
私の経験、体験からいたしまして、この古布は江戸、明治、大正のどの時代の古布であるかとの判定は大変難しいところです。
時代物の高価な古布をお求めになる時は、一つの方法としまして、古布取扱い店の店長さんの信頼度を見極めることです。

そのようなことからも、当店の古布は、仕入先を二三店の古布商に絞っております。
私事ですが、幼少の頃より 50年に亘って日舞に親しみ、花柳流師範を教授されています今日でさえ、生地の種類や古布の判別には慎重になります。このようなことからも、他店においての、江戸、明治、大正、昭和初期の古布であるとの表現はかなり割り引いて考えられた方がよろしいでしょう。そんなに、単純に見分けのできるものではありません。

そこで、当店ではまず布生地の分類を厳密に判別しております。取扱います古布は正絹、木綿、ウール、麻に分類し、化繊を排除しております。
正絹をさらに、紬、、縮緬、錦紗、綸子、絣、など見極めます。その過程で私の着物歴 50年の中で身に染込んだ着物感覚が、今日までお眼にかかれなかったような色彩、織り、柄、艶、に反応したときは、宝物にでも出会ったように興奮いたします。

このような着物こそ、何十年もの間、人目に触れることなく、どなたかに合いたがっていた着物 (古布) なのです。

<タイムスリップの世界>
私を魅了する古布に出会ったその瞬間、私は江戸の町にタイムスリップしました。
「…空虚の中、体がふわっとした瞬間、わたくしは未知の世界にいたのです。
…ふと気がつくと私の髪型、顔、着物、足元を見入る娘さんがいられるのです。
一人二人三人五人と私を囲むのです。やがて私を遠巻きしていた人の輪は、どんどん狭くなりました。…そして一人二人と微笑みかけてくるではありませんか。

わたくしの緊張していた体は一気に崩れそうになりました。ほっとしたわたしの表情になんと、娘さん達は優しく手を差し延べてくださったのです。…」
こんな体験をするのは私だけなのでしょうか、たった3〜5秒のこの瞬間は私にとって貴重な掛け替えのない瞬間なのでした。こんな私は江戸の時代に生まれたほうがよかったのかな、などと本気で思うこともございます。

<着物、それは日本の文化>
江戸の時代にタイムスリップしたわたくしを、優しく自然に受け入れてくださった江戸町人のしぐさや、微笑みかけてくださる迄に要した時間はほんの 5分間位だったと思います。江戸〜昭和・平成の 150年以上の時間の隔たりを、たった 5分の時間が "とき" を融合し、江戸の娘さんと私は自然とお話ができた訳です。
古い着物 (古布) に出会った時、わたくしの胸はときめきます。このときめき興奮こそ着物の魅力であり、日本の文化なのですね。
現在から 150年後の未来の娘さんも、タイムスリップして私に会いに来てくださるかしら。…
かならず来てくださるものと信じています。その時は、私が江戸の娘さんに迎えられた時と同じように、150年後の着物人を、優しく丁寧に満面の笑みでお迎えいたします。
そして、胸いっぱいの想いを取り留めなくお話しすることでしょう。

<和細工にご使用になります古布>
和細工にご使用になります古布は、素材、色彩、柄、において豊富な在庫があったほうが宜しいかと思います。
「かのう」の古布のお任せパックをご利用戴きますようお勧め致します。
(お任せパックは全て正絹に限定しております。)

古物商神奈川県公安委員会第452790001893号 (店主・小松涼子)
タグ:古布 時代 歴史
2009年04月28日 | 古布 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする | 編集

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